障害者虐待防止研修用DVDを制作しました。このブログでは制作に至った経緯などをお話してみたいと思います。
シルバーチャンネルの虐待防止DVDについて
シルバーチャンネルではこれまで、高齢者ケア分野を中心に映像制作をおこなってきました。介護保険がはじまった2000年頃から20年以上になります。高齢者虐待防止に関しては「身体拘束ゼロへの手引き」(厚生労働省、2001年)の制作に携わった田中とも江さん(ケアホーム西大井こうほうえん施設長)、鳥海房枝さん(NPO法人メイアイヘルプユー事務局長)の考え方や実践を伝えるDVDをおもに制作してきました。
アンケートはがきからDVD制作に
そのような中、2021年の初夏、DVD「身体拘束廃止研修ビデオ鳥海先生の始めの一歩」をご覧になった方から、障害者虐待防止のDVDもぜひ制作してほしいというアンケートはがきが届きました。その内容に並々ならぬ熱意を感じ、障害者支援関連の映像制作は初めてだったのですが、一緒に作りませんか?と提案させていただいたところ、ぜひ作りましょう、というお返事をいただきました。そのアンケートを送っていただいた方が、今回のDVDの監修とミニ講義をしていただいた栗原久さんでした。
制作の背景に厚労省の施策
栗原さんがDVDを作って欲しいと考えておられた背景には、厚労省が虐待防止に関して打ち出した施策があります。これは、令和3年度の報酬改定によって定められたもので、障害者虐待防止と高齢者虐待防止で多少の違いはあるものの、趣旨は、虐待防止の更なる推進のために、サービス事業者の運営基準に下記3点を盛り込んだものです。①従業者への研修実施、②虐待防止委員会の設置と周知徹底、③虐待の防止等のための責任者の設置。(高齢者介護サービス事業者には「指針の整備」も入れて4点となっています。)障害者サービス事業者は令和4年度より、高齢者介護サービス事業者は令和6年から義務付けられるとしています。この義務づけられた研修で使えるDVDを作りたい、ということでした。
2021年10月大阪でミニ講義とロールプレイを撮影
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の波が断続的に続いておりましたので、ZOOMとメールでやりとりしながら進めました。DVDの構成・シナリオは栗原さんが作成、私たちはそれを映像的に構成していきました。ロールプレイは、栗原さんが以前からかかわりのある社会福祉法人ぷくぷく福祉会の皆さんにお願いしていただき、2021年の10月の終わりに大阪で撮影をおこないました。そして2022年の3月に完成しました。内容は「職場での相談と行政への通報」、「身体拘束等の適正化」、「委員会と権利擁護の視点」に焦点をあて、それぞれロールプレイを見て考えていただいてから、ミニ講義で学びを深めるという2部構成になっています。
DVDの詳しい内容については「お好み書き」で
ここまで制作経緯をお話させていただきました。DVDの詳しい内容は、栗原さんが月刊お好み書きに書かれているので、それをご覧ください。今回特別に許可をいただき掲載させていただきました。この場をかりて御礼申し上げます。なお、月刊お好み書きは、元朝日新聞の記者、門田耕作さんが編集しているもので、1990年から続けられている歴史のあるミニコミ誌とのこと。私も年間購読させていただきました。
このDVDが障害者虐待防止研修のお役に立てば幸いです。
関連リンク
- 月刊 お好み書き 2022年6月1日号「障害者虐待防止研修用DVD制作に携わって 栗原久」
※月刊お好み書き連絡先 電話06-6357-5259 - 一般財団法人フィールド・サポートem.(えん)代表理事 栗原久さんについて
- 虐待防止・身体拘束廃止カテゴリのページ
- 厚生労働省【身体拘束ゼロへの手引き】 – 東京都福祉保健局
- 厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.945 令和3 年3月19 日(九 虐待の防止に詳細)
- 厚生労働省 令和3年度報酬改定における障害者虐待防止の更なる推進 (第107回(R3.4.19)社会保障審議会障害者部会 資料8−3)
DVDのひとコマ
障害者虐待防止研修用DVD①障害者虐待防止に向けて~職場での相談と、行政への通報について
障害者虐待防止研修用DVD②障害者虐待防止に向けて~身体拘束等の適正化について
障害者虐待防止研修用DVD③障害者虐待防止に向けて~虐待防止委員会・身体拘束等適正化検討委員会と、権利擁護の視点について
写真と文 桑野康一