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身体拘束廃止研修ビデオ 鳥海先生の新・始めの一歩!〜身体拘束ゼロの真の意味〜

2019年6月に行なわれた「第2回身体拘束ゼロ・高齢者虐待防止推進勉強会」(主催 NPO法人シルバー総合研究所)での鳥海房枝先生の講演を、施設内研修などで活用できるように再構成しました。

現在厚生労働省では「身体拘束ゼロへの手引き」の改定について議論されており、「身体拘束禁止の対象となる具体的な行為」、いわゆる11項目の見直し等が検討されているようです。その背景や内容について、その作業に携わっている委員のひとりである鳥海房枝先生(NPO法人メイアイヘルプユー事務局長)に話を伺ってみようということで、鳥海先生と同じく見直しの作業にかかわっている田中とも江先生(ケアホーム西大井こうほうえん施設長)を招いて開催されました。

その内容を項目ごとにチャプターにまとめ、ナレーション、テロップで補足説明を入れたものが本DVDとなります。ここではその概要をご紹介します。

チャプター2 「身体拘束ゼロへの手引」

チャプター2 「身体拘束ゼロへの手引」では、今から20年前、介護保険が始まった年に発行された「身体拘束ゼロの手引」(2001年3月厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」が発行)が作られた背景や、今回の見直しに至る経緯などを話しています。ゼロの手引には、「身体拘束禁止の対象となる具体的な行為」いわゆる11項目が記載され、介護保険施設ではこれを参考に廃止に向けた取り組みをおこないました。

その後、これをすり抜けるための「不適切なケア」が介護現場で少なからず行われていることが、介護相談員の調査から明らかになりました。不適切なケアの具体例としては、車椅子のタイヤの空気を片側だけ抜いて移動範囲を制限し、管理しやすくするなどの行為などが挙げられていました。このような事はもちろん一部の高齢者施設に限られると思いますが、こういったを状況を受けてゼロの手引の見直しがおこなわれているということです。

「身体拘束ゼロへの手引」
「身体拘束禁止の対象となる具体的な行為」

チャプター3「身体拘束ゼロの真の意味①〜認知症をもつ人の行動は、私達へのコミュニケーション」

チャプター3では、認知症をもつ人の行動、BPSDは言葉にならない人の言葉であり、ご本人にとっては切実なコミュニケーションの方法ではないか、そのメッセージを受け止め紐解く事が、改善のチャンスにつながる、と話していました。

具体的には、「オムツを外すあるいは便をいじるあるいは暴言というか暴れるとかというのも、実は彼らからのコミュニケーションの方法ではないかと」捉え、「彼らからの、言葉ではない意思表示なんだという受け止め方をして、彼らが No と言っている何とかしてくれと言っている、それをどう受け止めるかっていうことだよっていうのをそもそものスタートにすると、とってもいいチャンスになるだろう」と鳥海先生は言っています。

チャプター4「身体拘束ゼロの真の意味②〜高齢者の生老病死を肯定する〜」

チャプター4では、高齢者は今日より明日が衰えていく存在である、と捉えることを前提とすべきと話しています。そう捉えると、「明日や将来のために今日我慢させることは一切ない」はずであると語っています。

「今日がいい日である、明日が来たらまた今日が一番いい日であるというのを重ねていって、いい顔で穏やかに暮らして頂いて、やがて亡くなるというその日を迎えるという、この考え方をしていく。歳をとって今更何のためにこれしちゃいかんこれやったら良くないみたいなことは何もないはずです。」と。

高齢者の生老病死を肯定する

チャプター5「身体拘束ゼロの真の意味③〜ご家族が身体拘束を希望するケースについて考える」

チャプター5では、やむを得ず身体拘束を行っているケースの中には、ご家族が身体拘束を希望する場合がある、との報告について話しています。その背景には、ベッドから転落したり、転倒したりして骨折させたくない、というご家族の切実な思いがあるのだといいます。そのような「リスクを軽減させるための身体拘束」をどのように考えたら良いのか。

「動けることはその人にとって素晴らしいこと」だと考える。そして、ご家族にリスクを認識してもらい、暮らしを続けていく中で、悩みを共有する環境を一緒に作るべきであると、鳥海先生は言っています。

チャプター6「身体拘束ゼロの真の意味④〜利用者の傍らにいる時間をいかにつくるか」

チャプター6では、「今日がいい日である、明日が来たらまた今日が一番いい日である」という毎日を重ねていくためのヒントについて話しています。

「作業部分を合理化して、ご利用者の傍にいる時間を増やしていく」こと、「利用者の心を動かす個別ケアを組み立てる」こと、「利用者を主語にして、ケアを説明できる力をもつ」こと、などについて具体的に話しています。

「作業部分を合理化して、ご利用者の傍にいる時間を増やしていく」の具体的な例としては、鳥海先生が実際におこなった例としてシーツをボックスシーツにして、シーツ交換の時間を短縮することによって、ご利用者と接する時間を増やすといったことが語られていました。

利用者の心を動かす個別ケアを組み立てる

DVDは、身体拘束ゼロの真の意味を改めて考える内容となっています。日頃の取り組みを見直す機会に、施設内研修などで皆さんで御覧ください。

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写真と文 桑野康一